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雇用調整助成金の支給要件の緩和

雇用調整助成金の支給要件が、長引く経済不況を鑑み、下記の通り緩和されました。

今までは、雇用調整助成金の支給要件の一つとして、「売上高又は生産量の最近3か月間の月平均値がその直前3か月又は前年同期に比べ5%以上減少していること(ただし直近の決算等の経常損益が赤字であれば5%未満の減少でも可)」という生産量要件が定められていました。

今回、これに加え、対象期間の初日が平成21年12月2日から平成22年12月1日の間にあるものに限り、「売上高又は生産量の最近3か月間の月平均値が前々年同期に比べ10%以上減少し、直近の決算等の経常損益が赤字である中小企業」についても利用が可能とされました。

これにより売上高や生産量が下げ止まっているような場合であっても、助成金が継続して支給されることとなりました。

整理解雇要件について

1.人員整理の必要性 余剰人員の整理解雇を行うには、相当の経営上の必要性が認められなければならない。
一般的に、企業の維持存続が危うい程度に差し迫った必要性が認められる場合は、もちろんであるが、そのような状態に至らないまでも、企業が客観的に高度の経営危機下にある場合、人員整理の必要性は認められる傾向にある。
人員整理は基本的に、労働者に特段の責められるべき理由がないのに、使用者の都合により一方的になされるものであることから、必要性の判断には慎重を期すべきであるとするものが多いが、判例によっては、企業の合理的運営上やむを得ない必要性があれば足りるとして、経営裁量を広く認めるものもある。
2.解雇回避努力義務の履行 期間の定めのない雇用契約においては、解雇は最後の選択手段であることを要求される。
役員報酬の削減、新規採用の抑制、希望退職者の募集、配置転換、出向等によって、整理解雇を回避するための相当の経営努力がなされ、整理解雇に着手することがやむを得ないと判断される必要がある。
この場合の経営努力をどの程度まで求めるかで、若干、判例の傾向は分かれる。
3.被解雇者選定の合理性 まず人選基準が合理的であり、あわせて、具体的人選も合理的かつ公平でなければならない。
4.手続の妥当性 整理解雇に当たって、手続の妥当性が非常に重視されている。
説明・協議、納得を得るための手順を踏んでいない整理解雇は、他の要件を満たす場合であっても無効とされるケースも多い

※1
相当の経営上の必要性とは、過去何年もの経営状況を明らかにするための会計報告や人件費の一覧表、時には個々の経理伝票等々の客観的な資料に基づいて、企業収益における人件費割合が過剰か否か、業務内容に対する人員が過剰か否かなどを判断するものとされています。

※2
解雇は最終手段であることが要求されるため、会社として整理解雇回避のための対策を講じた後でなければやむを得ないものと判断されません。

※3
人選基準が合理的あることが必要であり、対象を特定することは公平性の面からも認められません。

※4
説明・協議・納得を得ることが必要とされていますが、客観的に充分であると考えられる説明・協議が実施されていれば、納得を得られなくても解雇を認められます。

人件費削減≪雇用調整(整理解雇等)・労働条件の引き下げ(賃金カット)≫

世界的な景気悪化の影響により、日本の各企業においても業績悪化が続き、人件費削減の対応をせざるを得ないような状況となっています。

人件費の削減は、企業にとって非常に大きな経費削減効果を生み出すことから、業績悪化=人件費削減として対応する企業が多くなっています。

具体的に人件費を削減する方法としては、雇用調整(整理解雇)労働条件の引き下げ(賃金カット)が考えられます。

雇用調整(整理解雇)

雇用調整(整理解雇)は、企業の業績悪化に伴い社員の雇用を継続させることが困難になった場合に実施することになりますが、社員を解雇するという非常に厳しい対応のため、判例および法令等でも厳しい条件が確立されています。

雇用調整(整理解雇)にあたっては、客観的に合理的な理由がない解雇や社会通念上相当と認められな場合には「解雇権の濫用」として解雇が無効となります。

社員に特に問題がなく、企業の業績悪化等による雇用調整(整理解雇)については、「解雇権の濫用」に該当するか否かの判断基準として「整理解雇の4要件」が確立されています。
<整理解雇の4要件>

①人員削減の必要性
②解雇回避の努力
③選定基準の妥当性
④事前手続きの妥当性(別紙参照)

企業は、「整理解雇の4要件」をクリアすることを意識し、可能な限り社員の不利益を最小限に抑える努力をする必要があります。企業の対応が不十分な場合には解雇が無効と判断されるケースもあります。

判例では整理解雇が有効と判断された例は少なく、「人員削減の必要性」が認められないケースが多くなっています。

整理解雇を実施せず、雇用を守るための対応をした企業は、国の助成金制度として、「雇用調整助成金制度」が活用できます。

≪雇用調整助成金制度≫

景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、その雇用する労働者を一時的に休業等(休業及び教育訓練)又は出向をさせた場合に、休業、教育訓練又は出向に係る手当若しくは賃金等の一部を助成します。
<受給要件>

①雇用保険の適用事業主であること。
②最近3ヶ月の売上高または生産量等がその直前3ヶ月間または前年同期比で5%以上減少していること。
③休業等を実施する場合は、従業員の全一日の休業または事業所全員一斉の短時間休業を行うこと。(平成21年2月6日から当面の期間にあたっては、当該事業所における対象被保険者等ごとに1時間以上行われる休業(特例短時間休業)についても助成の対象となります。
④出向を実施する場合は、3ヶ月以上1年以内の出向を行うこと。
※大型倒産等事業主などの特定事業主は要件がことなるため、最寄りのハローワークにご確認下さい。
<受給額>

◆休業等
休業手当相当額の2/3(上限あり)
※従業員の解雇等を行わない事業主に対しては助成率の上乗せ(2/3⇒3/4)があります。
※障害のある人の休業等に対しても助成率を上乗せ(2/3⇒3/4)があります。

支給限度日数⇒3年間で300日
※大型倒産等事業主など特定の事業主については、支給限度日数がことなるため、最寄りのハローワークにご確認下さい。
※教育訓練を行う場合は上記の金額に1人1日4,000円を加算できます。

◆出向
出向元で負担した賃金の2/3(上限あり)
※従業員の解雇等を行わない事業主に対しては助成率の上乗せ(2/3⇒3/4)があります。
※障害のある人の休業等に対しても助成率を上乗せ(2/3⇒3/4)があります。

労働条件の引き下げ(賃金カット)

社員の労働条件は個別の労働契約、就業規則、労働協約によって定められています。それらで定められている労働条件は社員の生活への影響度が高いため、企業側が一方的に変更することができません。

個別の労働契約の変更については、労働契約法でも当事者の合意により変更することができると定められており、企業と社員の双方が同意することが原則となります。

就業規則は企業が社員の労働条件を公平に設定し、社員に明示するために定められたものになります。企業側が一方的に作成するため、自由に就業規則の不利益変更が行われてしまうと社員の立場は非常に不安定な状態になってしまいます。そこで、就業規則の不利益変更は原則認められておらず、例外的な理由が発生した場合のみ変更が認められます。
<就業規則の不利益変更が認められる例外的な理由>

①労働者の受ける不利益の程度
②労働条件の変更の必要性
③変更後の就業規則の内容の相当性
④労働組合等との交渉の状況
⑤その他の就業規則の変更に係る事情に照らし合理的なものと認められる場合
上記の要件を満たす場合に変更が認められます。

労働協約は、労働組合と企業との間で労働条件等を協定したものになります。労働組合は労働協約の締結にあたり組合員の意見を聴取・集約し企業と交渉する立場にあるため、労働条件の不利益変更に該当するような労働協約の変更であっても締結されれば有効となります。

上記のように労働条件を変更するには様々な条件をクリアする必要があります。 従って、業績悪化に伴い労働条件の引き下げ(賃金カット)を実施する場合は、就業規則を改定し、社員の個別の同意(労働組合がある場合は、労働協約の締結でも可)を得ていることが原則となります。

しかし、企業が就業規則の変更のみによって①労働者の受ける不利益の程度、②労働条件の変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労働組合等との交渉の状況、⑤その他の就業規則の変更に係る事情に照らし合理的なものと認められる場合のすべてを満たす場合は、不利益変更が可能となります。この場合においても、裁判での判断となる場合は就業規則の変更が無効となる場合があるため、社員の個別の同意を得ておいた方がよいと思われます。